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ZEALS清水社長が語る音声AI元年と接客革命の全貌

by 田中 健司
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はじめに

2026年、日本の接客現場に「声で対話するAI」が急速に浸透し始めています。その最前線に立つのが、音声接客AIエージェント「Omakase AI」を展開する株式会社ZEALS(東京・目黒)です。同社の清水正大CEOは「2026年は日本にとって音声AI元年になる」と明言し、テキストベースのチャットボットから音声対話型AIへの大転換を推し進めています。

幼少期に「ドラえもんのような、人とコミュニケーションできるロボットを作りたい」という夢を抱いた清水氏は、その夢を現実のビジネスへと昇華させてきました。本記事では、ZEALSの音声AI戦略の全貌と、急拡大する音声AI市場の展望について解説します。

「ドラえもんを作りたい」から始まったZEALSの軌跡

航空機エンジニアから起業家へ

清水正大氏は1992年、岡山県倉敷市の生まれです。大手重工業企業で航空機製造に携わっていましたが、東日本大震災をきっかけに「日本をぶち上げる」という志に人生を賭けることを決断しました。働きながら貯金し、明治大学に進学。在学中の2014年にZEALSを創業しています。

「人とコミュニケーションできるロボットを作る」というビジョンを掲げ、志ある人の行動を後押しする「ドラえもんのような存在」の開発を目指してきました。当初は商材もアイデアもない中で飛び込み営業を重ねるところからスタートしたといいます。

チャットコマースから音声AIへの進化

2016年、業界初となる「チャットコマース」をリリースし、LINEやInstagramなどのチャットアプリ上で接客体験をデジタル化するサービスを展開しました。美容・金融・不動産・通信・人材・教育・自動車など多岐にわたる業界で導入が進み、大手企業を中心に450社以上が採用しています。

2018年にはForbes「アジアを代表する30歳未満の30人の起業家」のエンタープライズ・テクノロジー部門にノミネートされ、2022年5月にはJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、Zホールディングス傘下のZ Venture Capital、日本郵政キャピタル、米セールスフォース投資部門のSalesforce Venturesなどを引受先として総額50億円の資金調達を実施しました。そして現在、同社はテキストから音声へ、さらにロボティクスへと事業領域を大きく拡張しています。

音声接客AIエージェント「Omakase AI」の実力

Product Huntで世界1位を獲得

ZEALSが開発した音声接客AIエージェント「Omakase.ai Voice」は、2025年4月18日に世界最大級のプロダクト評価サイト「Product Hunt」のデイリーランキングで1位を獲得しました。同日にリリースされたGoogle Gemini 2.5 Flashを抑えての首位獲得であり、「日本のおもてなし文化とテクノロジーの融合」というコンセプトが世界的に評価された形です。

URLを1行入力するだけで音声接客AIを導入できる手軽さが特徴で、リリースから3か月で1万件を超える導入実績を記録しています。音声による自然な対話を中核としつつ、テキストでのコミュニケーションにも対応するマルチモーダルなAIエージェントです。

導入企業に見る具体的な成果

実際の導入事例として注目されるのが、パーソナライズヘアケアブランド「MEDULLA」を運営するSpartyでの成果です。MEDULLAはオンライン診断と相談を通じて約7万通りのケアから最適なものを提案するサービスですが、Omakase AI導入からわずか2週間で3,000件以上の音声接客を実施し、初回解決率90.8%を達成しました。

Spartyの代表は「新人カウンセラーが商品知識を習得するのに通常1か月、現場レベルの接客品質に達するまで3か月かかるが、Omakase AIは導入からわずか6日で現場レベルの接客品質を実現した」と評価しています。

2026年2月には、LIFULLが運営する住まい選び・家づくりの無料相談窓口「LIFULL HOME’S 住まいの窓口」にもOmakase AIが導入されました。サイトを訪れたユーザーがサービス内容を十分に理解できず離脱してしまうという課題に対し、ハウジングアドバイザーがデジタル上で音声・テキストを通じて初回接客を行う体験を目指すものです。

ヒューマノイドロボットへの挑戦と「おもてなしOS」

筑波大学附属病院での実証実験

ZEALSの挑戦は音声AIにとどまりません。2026年2月、中国のロボットメーカーUnitree(宇樹科技)と戦略的パートナーシップを締結し、ヒューマノイドロボット分野にも進出しました。

2026年3月23日から25日にかけて、筑波大学附属病院の1階ロビーでUnitree G1ヒューマノイドロボットを用いた実証実験を実施しました。これは日本の病院における初のヒューマノイドロボット実証実験であり、外来診療時間後の午後7時から9時の時間帯に、自律歩行、障害物回避、音声による道案内、搬送業務などの機能が検証されました。

Omakase OSが切り拓くロボティクスの未来

このロボットに搭載されているのが、ZEALSが開発した「Omakase OS」です。Voice(話す)、Vision(見る)、Motion(動く)の3つの機能を統合し、「おもてなし」を実装するロボティクスOSとして設計されています。

清水CEOが幼少期に夢見た「ドラえもんのように人と会話し共生するロボット」の実現に、一歩一歩近づいている形です。チャットコマースで培った対話技術、Omakase AIで磨いた音声AI技術、そしてOmakase OSによるロボティクスが一つの線でつながっています。

急拡大する音声AI市場と今後の展望

グローバル市場は年間約30%成長

音声AI市場はグローバルで急速な成長を続けています。調査会社の予測では、音声人工知能市場は2025年の約90億5,000万米ドルから2026年には約117億米ドルへと、年率29.3%で拡大する見込みです。特にアジア太平洋地域は最も高い成長率が期待されており、日本市場もその恩恵を受ける立場にあります。

日本国内でもAIエージェントの実運用が本格化しており、音声対応や挙動監視など、エージェントの稼働を支える分野への資金と人材の流入が加速しています。

「内部効率化」から「顧客体験」へ

清水CEOは、「AIの活用はこれまで社内の生産性向上に重点が置かれてきたが、いよいよ顧客など外部に価値を届けるフェーズに入った」と指摘しています。Omakase AIの日本語音声対応後、グローバルで生成されるOmakase.ai Voice AIエージェントの約10%が日本企業によって作成されるようになっており、日本市場での関心の高さがうかがえます。

今後はボイスクローニング(音声クローン)機能の実装も視野に入れており、オンラインとオフラインの境界を超えた最高の顧客体験の実現を目指すとしています。

まとめ

ZEALSの清水正大CEOが「音声AI元年」と位置づける2026年は、テキストチャットから音声対話、さらにはヒューマノイドロボットへと、AIと人間のコミュニケーション形態が大きく進化する転換点となりつつあります。

「ドラえもんを作りたい」という少年時代の夢から始まり、チャットコマースの開拓、音声AIエージェントでの世界的評価、そして病院でのヒューマノイドロボット実証へ。ZEALSの歩みは、日本発のAIスタートアップが「おもてなし」という文化的強みを武器に世界市場に挑む一つのモデルケースといえます。音声AIが私たちの日常の接客体験をどう変えていくのか、今後の展開に注目が集まります。

参考資料:

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