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日経平均2675円高の裏に潜む原油リスクとは

by 中村 壮志
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日経平均2675円高と原油高リスク

2026年4月1日、東京株式市場で日経平均株価が前日比2675円(5.24%)高の5万3739円と、歴代4番目の上昇幅を記録しました。新年度初日の取引で懸念されていた機関投資家の期初売りを跳ね返す大幅反発となり、市場には安堵感が広がっています。

しかし、この急騰の背景には中東情勢の停戦期待というきわめて不安定な要因があります。原油価格はWTIベースで1バレル100ドル前後と依然として高水準にあり、ホルムズ海峡の封鎖リスクも完全には解消されていません。本記事では、今回のリリーフラリー(安堵感からの急騰)の実態と、日本経済に残る構造的リスクを解説します。

リリーフラリーを引き起こした3つの要因

トランプ大統領の停戦示唆

今回の急騰の最大のきっかけは、トランプ米大統領が3月31日に発した「2〜3週間以内に対イラン軍事作戦を終了する」との発言です。AFP通信や時事通信の報道によれば、トランプ氏は合意の有無にかかわらず作戦を終了する意向を示しました。同日、イランのペゼシュキアン大統領もEUのコスタ大統領との電話会談で、戦闘終結に向けた「必要な意思を持っている」と表明しています。

この双方からの停戦シグナルを受けて、前日3月31日のニューヨーク市場ではダウ工業株30種平均が1125ドル高と大幅に上昇。この流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から幅広い銘柄に買いが入りました。

原油先物の下落と投資心理の改善

原油市場でも停戦期待が反映されました。Bloombergの報道によると、WTI原油先物は一時99ドルを下回る水準まで下落し、前日比で2%以上の値下がりとなりました。2月28日の米イスラエルによるイラン攻撃以降、原油価格は急騰を続けていただけに、この下落は投資家心理の改善に大きく寄与しています。

新年度の需給要因

4月1日は名実ともに新年度入りの日です。市場では、年金基金など機関投資家による期初のリバランス売りが警戒されていました。しかし、中東情勢の好転期待が売り圧力を大きく上回り、結果として5営業日ぶりの反発が実現しています。半導体関連のアドバンテストや東京エレクトロンなど、値がさ株が上昇を牽引しました。

原油高止まりが示す構造的リスク

ホルムズ海峡の封鎖と日本のエネルギー依存

今回のリリーフラリーにもかかわらず、原油価格はWTIベースで100ドル前後と、軍事衝突前と比較して依然として高い水準にあります。Bloombergの報道によれば、ホルムズ海峡は2月28日以降、海上輸送がほぼ機能停止した状態が続いています。

日本にとってこの状況は深刻です。日本は原油輸入の約9割を中東に依存しており、ホルムズ海峡を通過する原油は日本向け全体の約93%を占めるとされています。停戦が実現したとしても、海峡の安全が完全に確保されるまでには時間がかかる見通しです。

長期化シナリオと経済への打撃

みずほリサーチ&テクノロジーズの分析によれば、戦闘は数カ月程度で小康状態に移行するシナリオが想定されるものの、エネルギー価格は軍事作戦開始前と比較して2割程度高い水準で高止まりすると予測されています。ゴールドマン・サックスはブレント原油が4月末まで平均110ドルで推移するとの見通しを示す一方、2026年第4四半期には71ドルまで下落するとの予測も出しています。

また、JBpressの報道では、原油価格が1バレル100ドルを超える水準が持続した場合、日本の物価には0.8ポイント程度の上振れ圧力がかかるとの試算があります。ガソリン価格がリッターあたり200円を超える可能性も指摘されており、消費者の購買力への影響は無視できません。

4月2日トランプ演説と停戦不透明感

トランプ演説が次の転換点

トランプ大統領は米東部時間4月1日午後9時(日本時間4月2日午前10時)にイラン情勢に関する国民向け演説を予定しています。時事通信の報道によると、具体的な撤退スケジュールや停戦条件が示されるかどうかが、市場の次の方向性を決める大きな材料となります。

ただし、イラン側は保証を求めており、即座の停戦合意には至っていません。Bloombergの報道では、イランは中東各地へのミサイル攻撃を継続しているとされ、トランプ氏の停戦示唆後も軍事的な緊張は完全には解消されていない状況です。

リリーフラリーの持続性に疑問

歴史的に見て、地政学リスクの後退を材料とした急騰は一時的なものにとどまるケースが少なくありません。今回も停戦が実現しなかった場合や、ホルムズ海峡の正常化が遅れた場合には、再び大幅な下落に転じるリスクがあります。原油価格が高止まりする限り、企業収益への圧迫やインフレ加速への懸念は払拭できません。

ホルムズ封鎖下の日本エネルギー依存

4月1日の日経平均2675円高は、中東停戦期待を背景としたリリーフラリーでした。トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領双方からの停戦シグナルが、前日のNY市場の急騰と相まって東京市場を押し上げた形です。

しかし、ホルムズ海峡の封鎖状態やWTI100ドル前後の原油高止まりなど、構造的なリスクは依然として残っています。中東に原油の9割を依存する日本にとって、停戦の行方とエネルギー供給の正常化は引き続き最重要の注視ポイントです。投資家としては、4月2日のトランプ演説の内容を見極めつつ、過度な楽観を避けた慎重な姿勢が求められます。

参考資料:

中村 壮志

国際情勢・地政学・安全保障

中東・米中関係を中心に国際情勢を取材。地政学リスクが日本経済に与える影響を、現地の視点から分析する。

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