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日経平均1497円高の背景と今後の焦点を解説

by 中村 壮志
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日経平均1497円高と米イラン和平期待

2026年3月25日、東京株式市場で日経平均株価が前日比1497円34銭高(2.87%)の5万3749円62銭と大幅続伸しました。上昇幅は一時1770円に達する場面もあり、保険・銀行・自動車など幅広いセクターに買いが広がりました。

この急騰の主な要因は、米国とイランの間で和平交渉が進展するとの期待感です。原油価格の下落も加わり、投資家のリスク選好姿勢が一気に強まりました。本記事では、株高の背景にある中東情勢の動きと、今後の相場を左右する注目ポイントを整理します。

米イラン和平期待が市場を動かした経緯

2月末からの中東緊迫化と株価急落

今回の株高を理解するには、2月末以降の経緯を振り返る必要があります。2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃に踏み切りました。これを受けてWTI原油先物価格は攻撃前の1バレル67ドル程度から、3月9日には一時120ドル近辺まで急騰しました。

イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡付近の船舶に通過禁止を通告したことで、民間船舶がリスク回避のため航行を見合わせ、同海峡は事実上の封鎖状態に陥りました。日本は原油輸入の約94%を中東に依存しており、タンカーの約8割がホルムズ海峡を通過するため、日本経済への打撃が強く懸念されました。

東京市場では3月9日に日経平均が一時4100円超の急落を記録するなど、中東リスクが市場を大きく揺さぶりました。

トランプ大統領の和平シグナル

転機となったのは3月23日です。トランプ米大統領がSNS上で、イランとの間で「非常に良好で生産的な対話」が週末に行われたと投稿しました。さらに、ペンタゴンに対してイランのエネルギーインフラへの攻撃を5日間停止するよう命じたと明らかにしました。

この発表を受け、米国市場ではダウ平均が631ポイント上昇し、S&P500も1.15%上昇するなど、大幅なリスクオンの展開となりました。原油先物価格は約15%下落し、株式市場の時価総額は一日で約1.7兆ドル増加しました。

15項目の和平計画と通航再開の動き

3月24日には、米国がイランに対して戦闘終結に向けた15項目の計画を送付したと報じられました。NHKなどの報道によると、この計画にはミサイル開発の5年間停止やウラン濃縮ゼロなどの条件が含まれているとされます。

同日、イランが国際海事機関(IMO)加盟国に対し、「非敵対的船舶」についてはイランの定めた規則を順守する限りホルムズ海峡の通航を認める方針を示したことも、市場心理の改善に大きく寄与しました。ブレント原油は一時7%下落し97ドル近辺、WTIは87ドル前後まで値を下げました。

25日の東京市場で何が買われたか

保険・銀行・自動車が上昇をけん引

25日の東京市場では、前日の米国市場の上昇と原油価格の下落を好感し、寄り付きから買いが先行しました。特に目立ったのが保険株、銀行株、自動車株への買いです。

保険セクターは、中東リスクの高まりで保険金支払いの増大が懸念されていたため、リスク後退による買い戻しが集中しました。銀行株は、地政学リスクの低下に伴う景気見通しの改善が材料視されました。自動車株は、原油価格の下落がガソリン価格の安定につながるとの期待から買われました。

大型ハイテク株も堅調

個別銘柄では、ソフトバンクグループが7%超の大幅上昇を記録しました。傘下の英半導体設計大手アームが24日に初の自社製AI半導体「AGI CPU」を発表したことが材料視されました。アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体関連株も堅調に推移し、指数寄与度の高い大型株が幅広く買われる展開となりました。

前日24日にも日経平均は736円高と大幅反発しており、2日間の合計上昇幅は2200円超に達しています。3月上旬の急落からの回復が鮮明になってきた形です。

イラン交渉否定と原油再急騰リスク

イラン側は交渉自体を否定

楽観一色に傾くのは危険です。イラン国営メディアは、米国との対話そのものが行われていないと否定する報道を行っています。匿名の「高官筋」を引用し、「市場操作のための策略だ」との見方を示しました。

トランプ大統領はイランからの「贈り物」に言及していますが、その詳細は明かされていません。和平プロセスの実体がどこまであるのかは不透明な部分が残ります。

原油価格と地政学リスクが引き続き焦点

今後の相場を左右する最大の要因は、依然として中東情勢と原油価格です。ホルムズ海峡の通航が本格的に再開されるかどうかが、原油価格の方向性を決定づけます。仮に交渉が決裂すれば、原油価格の再急騰と株価の再下落リスクが高まります。

また、トランプ関税問題など他の不確実要因も残っています。中東情勢の改善が一時的なものにとどまれば、5万3000円台の水準が維持できるかは不透明です。

1497円高後のホルムズ海峡と原油注視

3月25日の日経平均1497円高は、米イラン和平への期待感と原油価格の下落という2つの要因が重なった結果です。2月末の軍事衝突以降、市場を覆っていた中東リスクがいったん和らいだことで、保険・銀行・自動車など幅広い銘柄に買いが集まりました。

ただし、イラン側が交渉自体を否定している点は見逃せません。和平の行方は依然不確実であり、楽観と警戒のバランスを保ちながら相場の推移を見守る姿勢が重要です。引き続き、ホルムズ海峡の動向と原油価格の推移に注目する必要があります。

参考資料:

中村 壮志

国際情勢・地政学・安全保障

中東・米中関係を中心に国際情勢を取材。地政学リスクが日本経済に与える影響を、現地の視点から分析する。

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