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高市首相が初訪米、ホルムズ問題で試される日米関係

by 中村 壮志
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高市初訪米を直撃するホルムズ危機

高市早苗首相は2026年3月19日、ワシントンでトランプ米大統領との初の首脳会談に臨みます。就任後初の訪米となる今回の会談は、米国・イスラエルによるイラン攻撃後の中東情勢が緊迫する中という極めて難しいタイミングと重なりました。

トランプ氏はホルムズ海峡への艦船派遣に慎重な同盟国に不満を爆発させています。「トランプ支持」を強調し日米の蜜月をアピールしてきた高市首相にとって、最大級の試練と言える外交の場です。会談の焦点と日米関係への影響を整理します。

首脳会談の焦点

ホルムズ海峡問題が最大のテーマに

今回の日米首脳会談の最大の焦点は、ホルムズ海峡を巡る日本の対応です。トランプ大統領は3月14日以降、日本を名指しで艦船派遣を要請してきました。「日本は石油の95%をホルムズ海峡に依存している」と指摘し、同盟国の消極姿勢への苛立ちを隠していません。

高市首相は3月16日の参院予算委員会で、ホルムズ海峡での船舶護衛について「日本政府として必要な対応を行う方法を現在検討中だ」と答弁しました。しかし、自衛隊の派遣は法的にも政治的にもハードルが極めて高い状況です。政府内では「戦闘収束前の自衛隊派遣は困難」との声が強く、イラン攻撃に対する法的評価を回避していることも障壁となっています。

「できないことはできない」の姿勢

高市首相は出発前に「極めて難しい会談になる」との認識を示しつつも、中東情勢に関して「日本の立場、考えも踏まえてしっかりと議論をしたい」と述べました。自衛隊派遣が困難な理由を率直に説明した上で、日本独自の貢献策を示す必要があります。

注目されるのは、高市首相がイラン攻撃を巡る米軍への後方支援を明確に否定している点です。「協力要請されていない」との立場を取りつつ、ホルムズ海峡問題では何らかの対応策を示す必要に迫られています。

日本が提示する「カード」

米国産原油の輸入拡大

日本側が用意する主要な「カード」の一つが、米国産原油の輸入拡大です。高市首相はトランプ大統領に対し、アラスカ州での原油増産への投資協力と、その原油の輸入拡大を伝達する方針を固めています。

中東産原油への依存度が94%に達する日本にとって、米国産原油の調達は調達先の多角化にもつながります。トランプ氏が重視する貿易赤字の削減にも寄与するため、双方にメリットのある提案と言えます。

防衛力強化と大型投資

もう一つのカードが、防衛力の強化と大型経済投資です。高市首相は長距離ミサイルの配備加速による攻撃能力の強化を伝えるとともに、米国の多層的ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」への参加意向を表明する見通しです。

さらに、推定1,000億ドル規模の追加投資プロジェクトの発表も検討されています。銅の製錬・精製、液晶ディスプレイ製造、原子力発電所建設など、幅広い分野での経済協力が想定されています。

「トランプ支持」路線の功罪

蜜月アピールと現実のギャップ

高市首相は就任以来、「トランプ支持」を明確に打ち出してきました。トランプ氏も2月の衆院選で高市氏を「完全かつ全面的に支持する」とSNSで表明するなど、両者の個人的な関係は良好とされています。

米国側もワーキングランチに加えトランプ氏主催の夕食会を設けるなど、極めて異例の厚遇で迎える構えです。しかし、この「蜜月」がホルムズ海峡問題という現実の前で試されることになります。

国内からの風圧

一方、国内からの風圧も強まっています。米国のイラン攻撃を批判できないまま、イランには自制を求める日本の姿勢に対し、メディアや野党からは「二重基準」との批判が上がっています。トランプ氏の要求に安易に応じれば国内世論の反発を招き、かといって拒否すれば日米関係の悪化を招くというジレンマに直面しています。

日米同盟とエネルギー政策の転換点

今回の首脳会談は、日米同盟の在り方を問い直す重要な転機となる可能性があります。トランプ政権が同盟国に対してより直接的な「負担共有」を求める中、日本は軍事的貢献に限らない多面的な協力の形を示す必要があります。

高市首相にとっての最大のリスクは、ホワイトハウス執務室での記者団とのやり取りです。トランプ氏が予測不可能な発言をする可能性があり、高市首相がその場でどう対応するかが注目されます。

長期的には、今回の会談が日本のエネルギー安全保障政策の転換点となるかもしれません。中東依存からの脱却、米国産資源の活用、再生可能エネルギーの推進といった構造的な転換が、外交的な圧力によって加速する可能性があります。

米国産原油と大型投資に託す外交カード

高市早苗首相は3月19日、就任後初の訪米でトランプ大統領との首脳会談に臨みます。ホルムズ海峡への艦船派遣要求という直接的な課題に加え、中東情勢やエネルギー安全保障、防衛協力と幅広い議題が待ち構えています。

「トランプ支持」路線が試される中、高市首相は米国産原油の輸入拡大や大型投資など経済面のカードを切りつつ、法的・政治的制約のある軍事的要求にどう応えるかが問われます。日米首脳会談の結果は、今後の日本外交の方向性を大きく左右することになります。

参考資料:

中村 壮志

国際情勢・地政学・安全保障

中東・米中関係を中心に国際情勢を取材。地政学リスクが日本経済に与える影響を、現地の視点から分析する。

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