法政大が東京家政学院中高を系列校化へ 私学再編の新潮流
2027年度系列校化と私学再編の象徴
法政大学と東京家政学院が、2027年度から東京家政学院中学校・高等学校を法政大学の系列校とすることで基本合意しました。大学を有する学校法人の中高が、別の大学の系列校になるという異例の連携です。
18歳人口の急減が続くなか、有力私立大学が系列校を拡充する動きが加速しています。今回の合意は、大学・中高双方にとっての生き残り戦略であると同時に、今後の私学再編の方向性を示す象徴的な事例です。この記事では、系列校化の具体的な内容と背景、そして私学を取り巻く構造変化について詳しく解説します。
系列校化の具体的な内容
校名変更と推薦入学枠の新設
報道によると、東京家政学院中学校・高等学校は2027年度から「法政大学千代田三番町中学・高校」に校名を変更する予定です。新校名には法政大学の名称が冠され、所在地である千代田区三番町が盛り込まれています。
注目すべきは、法政大学への推薦入学枠が新たに設定される点です。法政大学の既存の付属校では、卒業生の8〜9割が内部推薦で法政大学に進学しています。新たな系列校にも同様の推薦制度が導入されれば、受験生や保護者にとって大きな魅力となります。
運営体制の刷新
系列校化に伴い、運営体制も大きく変わります。法政大学の付属校で校長を務めた経験者が新たに校長に就任するほか、東京家政学院の理事会メンバーの3分の1を法政大学の関係者が占める予定です。教育方針やカリキュラムにも法政大学の理念が反映されることになります。
また、現在は女子校として運営されている東京家政学院中高ですが、共学化も検討されています。共学化が実現すれば、志願者層の拡大につながり、学校の競争力が一段と高まることが期待されます。
法政大学にとっての戦略的意義
既存付属校の体制と新たな系列校の位置づけ
法政大学には現在、3つの付属校があります。法政大学中学高等学校(東京都三鷹市)、法政大学第二中学高等学校(神奈川県川崎市)、法政大学国際高等学校(神奈川県横浜市)の3校です。
今回の系列校化により、法政大学は都心の千代田区に新たな生徒供給拠点を確保することになります。千代田区三番町という立地は、法政大学の市ケ谷キャンパスにも近く、高大連携の教育プログラムを展開しやすい地理的メリットがあります。
学生確保の長期戦略
法政大学が系列校の拡充に動く最大の理由は、18歳人口の減少です。日本の18歳人口は1992年の約205万人をピークに減少を続け、2023年には約110万人まで縮小しました。2040年には約82万人にまで減ると予測されています。
MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)をはじめとする有力私大にとっても、将来の学生確保は決して安泰ではありません。系列校からの安定的な内部進学者を増やすことは、大学経営の安定化に直結する重要な施策です。
東京家政学院にとっての意味
歴史ある学校法人の選択
東京家政学院は1923年に家政研究所として開設され、100年以上の歴史を持つ学校法人です。中学校・高等学校に加えて、東京家政学院大学も設置しています。「良き家庭人であると共に良き社会人であること」を建学の理念として掲げ、家政学を中心とした教育を展開してきました。
しかし、少子化の影響は中堅規模の私立学校にとって深刻です。私立大学の59.2%が定員割れを起こしている現状において、大学を持つ学校法人であっても安定経営の保証はありません。法政大学という有力大学のブランドと推薦枠を得ることで、中高の志願者増加と教育の質的向上を同時に図る戦略です。
大学を持つ法人の中高が他大学の系列校に
今回の連携で特に注目されるのは、東京家政学院が大学を擁する学校法人でありながら、中高を別の大学の系列校にするという点です。この構造は従来の付属校化とは異なり、学校法人としての独立性を維持しつつ、中高の教育面で法政大学と深く連携するものです。大学と中高を分離して連携先を選ぶという新しいモデルは、今後の私学再編の一つの選択肢になる可能性があります。
加速する私学再編の動き
相次ぐ系列校化の事例
法政大学と東京家政学院の合意は、近年加速している私学再編の流れの中で捉える必要があります。
2026年4月には、日本学園中学校・高等学校が「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」に改称し、明治大学の系列校に移行しました。また、順天中学校・高等学校も「北里大学附属順天中学校・高等学校」として北里大学との連携を深めています。
さらに法政大学自身も、2022年9月に女子校の三輪田学園と高大連携協定を締結し、最大30人の学校推薦型選抜枠を設けています。有力大学が中高との連携を強化する動きは、もはや個別の事例ではなく、構造的なトレンドです。
中学受験市場への影響
MARCH付属校の中学受験における人気は年々高まっています。不透明な大学入試環境のなかで、中学段階で有力大学への進学をほぼ確保できる付属校・系列校は、受験生や保護者にとって非常に魅力的な選択肢です。
「法政大学千代田三番町中学・高校」が正式に始動すれば、都心の新たなMARCH系列校として中学受験市場に大きなインパクトを与えることが予想されます。特に共学化が実現した場合、男女を問わず幅広い受験生が志願する可能性があります。
東京家政学院の理念継承と2030年代再編
系列校化の課題
系列校化にはメリットだけでなく、課題もあります。東京家政学院の教育理念と法政大学の教育方針をどのように融合させるかは、今後の大きなテーマです。100年以上続く建学の精神を維持しながら、法政大学の系列校としてのアイデンティティをどう確立するか、慎重な舵取りが求められます。
また、東京家政学院大学との関係も注目点です。中高が法政大学の系列校になることで、東京家政学院大学への進学者が減少する可能性があり、法人全体としての経営戦略の整合性が問われます。
さらなる再編の可能性
今回の事例は、今後の私学再編の呼び水になる可能性が高いです。18歳人口の減少が本格化する2030年代に向けて、同様の連携や統合が相次ぐことが予想されます。特に、単独での経営が厳しくなる中堅・小規模校にとって、有力大学との系列校化は有力な生き残り策です。
一方で、有力大学側も系列校を無制限に拡大することは難しく、連携先の選定や教育水準の維持が課題となります。私学再編は、単なる経営統合ではなく、教育の質を高める方向で進むことが重要です。
2027年度へ進む校名変更と推薦枠具体化
法政大学と東京家政学院の系列校化合意は、少子化時代における私学の新しい連携モデルを示す重要な事例です。大学を持つ学校法人の中高が他大学の系列校になるという異例の形式は、従来の枠組みにとらわれない柔軟な再編の可能性を示しています。
2027年度の系列校化に向けて、校名変更や共学化の検討、推薦入学枠の設定など、具体的な動きが今後加速していくでしょう。受験を検討している保護者は、最新の情報を継続的にチェックすることをおすすめします。私学の再編は、子どもたちの教育環境をより良くする方向で進むことが期待されます。
参考資料:
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