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JERA発電所内データセンター構想が変えるAI時代の電力供給

by 山本 涼太
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AI電力需要急増とJERA発電所内データセンター構想

AI・生成AIの急速な普及により、データセンターの電力需要が爆発的に増加しています。IEA(国際エネルギー機関)の予測では、2030年までの日本の電力需要増加の半分以上をデータセンターが占めるとされています。この2年ほどでデータセンター事業者からの引き合いが急増する中、JERAが打ち出したのが「発電所の敷地内にデータセンターを置く」という革新的なモデルです。

JERAは国内に約26の発電所を持ち、総出力約5,900万キロワットで日本の電力供給の約3割を担っています。この圧倒的なインフラを活かした新事業モデルの全容を解説します。

「土地と電気を持つ」JERAの強み

発電所敷地の戦略的価値

データセンターの建設には広大な敷地と大容量の電力接続が不可欠です。JERAの火力発電所は、東京湾岸をはじめとする産業集積地に立地し、すでに大容量の送電設備が整備されています。発電所の敷地内にデータセンターを建設すれば、新たな送電線の敷設が不要になり、送電ロスも大幅に削減できます。

JERAの基本方針は明確です。データセンター事業そのものに深く参入するのではなく、土地を貸し、電力を直接供給するモデルです。発電インフラを持つ企業ならではのポジショニングで、データセンター事業者との協業を実現しています。

LNG冷熱を活用した冷却技術

JERAの発電所構想でユニークなのが、LNG気化プロセスで発生する冷熱の活用です。LNGは約マイナス162度の液体を気化させて利用するため、その過程で大量の冷熱が発生します。この冷熱をデータセンターの冷却に活用すれば、サーバー冷却に必要な電力消費を大幅に削減できます。

データセンターの消費電力のうち、約3〜4割が冷却に使われているとされます。LNG冷熱の活用は、電力供給とエネルギー効率化を同時に実現する画期的なソリューションです。

大手IT企業との連携が加速

さくらインターネットとの基本合意

2025年6月、JERAはさくらインターネットと基本合意書を締結しました。JERAのLNG火力発電所の構内にデータセンターを新設する可能性を共同で検討するもので、東京湾岸を含む複数の発電所が候補に挙がっています。

さくらインターネットは日本のクラウドインフラ大手であり、政府のAI戦略における国産クラウド基盤としても注目されています。JERAの発電インフラとさくらのクラウド技術を組み合わせることで、AI時代に対応した国産データセンターの構築が期待されています。

横浜港の火力発電所プロジェクト

2025年10月には、横浜市と連携し、横浜港湾地区にあるJERA火力発電所の敷地内でのデータセンタープロジェクトに関する覚書が締結されました。横浜港は国際的な物流拠点であり、海底ケーブルの接続拠点としてもデータセンターの立地に適しています。

AWSやGoogleとのパートナーシップ

グローバルIT大手との連携も進んでいます。2026年2月にはAmazon Web Services(AWS)との協業を発表し、データセンターを含むAWS施設への多様なエネルギーソリューションの提供を推進しています。また、Googleとは千葉県印西市のデータセンター向けに15メガワットの仮想PPA(電力購入契約)を締結しており、20年間の長期契約が2027年3月までに発効する予定です。

日本のデータセンター電力需要の実態

AI普及で急増する電力消費

日本国内のAIデータセンターのIT供給電力量は、2025年末の約300メガワットから2026年末には約600メガワットへと倍増する見通しです。2027年末にはさらに約800メガワットに拡大すると予測されています。

グローバルでも、世界のデータセンターの電力消費量は2022年比で2026年に2.2倍の1,000テラワット時に達するとIEAは試算しています。これは日本の年間総電力消費量に匹敵する規模です。

電力確保が競争力の源泉に

AI分野の国際競争において、電力の安定確保がますます重要な差別化要因になっています。データセンターの誘致や建設は各国で加速しており、電力供給能力の有無が立地決定の最大の要因です。JERAが持つ大規模発電能力と広大な敷地は、日本がAIインフラ競争で優位に立つための重要な資産です。

脱炭素化とAI電力需要増への対応課題

JERAの発電所内データセンターモデルは合理的ですが、課題もあります。火力発電所は将来的に脱炭素化が求められるため、データセンターへの電力供給も低炭素化していく必要があります。JERAは再生可能エネルギーや水素・アンモニアへの燃料転換を進めており、供給電力の脱炭素化も計画に組み込んでいます。

また、データセンター需要の急増に対して発電能力の増強が追いつくかも課題です。AIの進化に伴う電力需要の伸びは従来の想定を上回るペースであり、計画の柔軟な見直しが求められます。JERAが持つ蓄電池との組み合わせも検討されており、ピーク需要への対応力が今後の競争力を左右するでしょう。

JERAの土地・電力・冷熱を生かすIT協業モデル

JERAが推進する「発電所内データセンター」モデルは、土地・電力・冷熱という3つの資産を活用した独自のソリューションです。さくらインターネット、AWS、Googleといった大手IT企業との連携が相次ぎ、AI時代の電力インフラとして具体化が進んでいます。

データセンターの電力需要が日本の電力増加の過半を占める見通しの中、JERAの発電インフラは国家的な資産としての重要性を増しています。発電会社とIT企業の新たな協業モデルとして、今後の展開に注目です。

参考資料:

山本 涼太

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