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住宅ローン変動金利が15年ぶり1%超え 固定への切替戦略

by 鈴木 麻衣子
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変動金利1%超えと固定切替の焦点

住宅ローンの変動金利が、約15年ぶりの水準に達しようとしています。2026年3月、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が変動型住宅ローンの基準金利を0.25%引き上げたことで、4月適用分の最優遇金利の平均値が1%を超える見通しとなりました。

長く続いた超低金利時代の恩恵を受けてきた変動金利型ローンの利用者にとって、今回の金利上昇は大きな転換点です。毎月の返済額への影響を懸念し、固定金利型への借り換えを検討する動きも出始めています。本記事では、金利引き上げの背景から固定金利への切り替え判断のポイント、今後の見通しまでを詳しく解説します。

メガバンクの金利引き上げと背景

三菱UFJ・三井住友が3月から引き上げ

2026年3月、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は変動型住宅ローンの基準金利を3.125%に引き上げました。引き上げ幅は三井住友銀行が0.25%(新規・借り換えとも)、三菱UFJ銀行が新規向けで0.275%、借り換え向けで0.25%です。

一方、みずほ銀行は最優遇金利を0.775%に据え置いており、銀行間での対応に差が生じています。この差は今後の顧客獲得競争にも影響を与える可能性があります。

既存の変動金利型ローン利用者については、多くの銀行で4月を基準日とする金利見直しが行われるため、実際の返済額への反映は7月頃からになる見込みです。

日銀の利上げが引き金に

今回の金利引き上げの直接的な要因は、2025年12月の日銀による政策金利の引き上げです。日銀は政策金利を0.75%程度に引き上げ、これを受けて各銀行の短期プライムレートが上昇しました。

変動金利型住宅ローンの基準金利は短期プライムレートに連動しているため、日銀の利上げがそのまま住宅ローン金利に波及する構造になっています。2024年3月にマイナス金利が解除されて以降、段階的な利上げが続いており、変動金利型ローンへの影響が累積的に大きくなっています。

変動金利1%超えの意味と家計への影響

15年ぶりの水準が示すもの

変動金利の最優遇金利が平均で1%を超えるのは、およそ15年ぶりのことです。2010年代から2020年代前半にかけて、変動金利は0.3%〜0.5%台という歴史的な低水準が続いていました。多くの住宅購入者がこの低金利を前提に借入計画を立てており、1%超えは心理的にも大きなインパクトがあります。

たとえば、借入額4,000万円・返済期間35年の場合、金利が0.5%から1.0%に上昇すると、毎月の返済額は約1万円増加します。年間では約12万円、35年間の総返済額では数百万円の差が生じる計算です。

5年ルールと125%ルールの落とし穴

変動金利型ローン(元利均等返済)には、返済額の急激な増加を防ぐための「5年ルール」と「125%ルール」が設けられています。5年ルールでは、金利が変動しても5年間は毎月の返済額が変わりません。125%ルールでは、5年ごとの見直し時に返済額の増加幅が前回の125%までに制限されます。

しかし、これらのルールは返済額の「見た目」を抑えるだけで、金利上昇分の負担が消えるわけではありません。返済額に占める利息の割合が増え、元金の返済が遅れるという問題が生じます。最悪の場合、「未払利息」が発生し、毎月返済しているにもかかわらず元金が減らない状態に陥る可能性もあります。

固定金利への借り換えという選択肢

固定金利の現在の水準

2026年3月時点で、全期間固定金利型の代表格であるフラット35の金利は2.25%(融資率9割以下・返済期間21〜35年)です。変動金利との差は約1.4%あり、この差をどう評価するかが借り換え判断の鍵となります。

現在の変動金利と固定金利の差が1.41%であることから、「今後変動金利が1.41%以上上昇し、それが長期間続くなら固定金利が有利」という計算になります。日銀がさらなる利上げを継続するかどうかが判断の分かれ目です。

借り換えを検討すべきケース

固定金利への借り換えが特に有効なのは、以下のようなケースです。第一に、残りの返済期間が長い場合です。返済期間が20年以上残っている場合、将来の金利上昇リスクが大きくなるため、固定金利で確定させるメリットが増します。

第二に、家計の余裕が少ない場合です。毎月の返済額が家計に占める割合が高い世帯では、金利上昇による返済額の増加が生活を直撃します。総返済額が多少増えても、毎月の支出を安定させたいというニーズは合理的な判断です。

第三に、現在の変動金利が0.8%以上の場合です。すでに比較的高い変動金利が適用されている場合、借り換えによる総返済額の削減効果が大きくなる可能性があります。

借り換え時の注意点

固定金利への借り換えには手数料や諸費用が発生します。事務手数料、保証料、登記費用などを合わせると、数十万円から100万円程度の費用がかかることもあります。これらのコストを含めたうえで、総返済額を比較することが重要です。

また、借り換え審査では現在の年収や勤続年数、物件の担保価値などが改めて評価されます。当初の借入時と状況が変わっている場合、希望通りの条件で借り換えられない可能性もあることに留意が必要です。

今後の金利見通しと注意点

日銀のさらなる利上げ観測

市場では、日銀が2026年中にさらに利上げを行うとの見方が優勢です。野村證券は2026年6月と12月に0.25%ずつの利上げを予想しており、政策金利が1.25%に達するシナリオを示しています。一部の専門家は、次回の利上げ時期を2026年7月と予想しています。

仮に政策金利が1.25%まで引き上げられた場合、変動金利型ローンの最優遇金利は1.5%前後まで上昇する可能性があります。ダイヤモンド不動産研究所の試算では、10年後の変動金利は2.3%〜3.8%程度まで上昇するとの予測もあります。

「金利のある世界」への適応

住宅金融支援機構は「金利のある世界」への対応を呼びかけています。長年のゼロ金利環境に慣れた日本の住宅ローン市場にとって、金利上昇は構造的な変化を意味します。

今後は変動金利一択ではなく、固定金利や固定期間選択型など、複数の金利タイプを比較検討することが重要になります。また、繰上返済の活用や、金利上昇に備えた貯蓄の確保など、家計全体での対策も求められます。

固定金利借り換え判断と家計試算

住宅ローンの変動金利が15年ぶりに1%を超える局面を迎えています。三菱UFJ銀行や三井住友銀行の基準金利引き上げに加え、日銀のさらなる利上げ観測もあり、今後も金利上昇が続く可能性は高いと見られます。

固定金利への借り換えは、返済の安定性を確保する有効な手段ですが、諸費用や審査条件も含めた総合的な判断が必要です。まずは現在の借入条件を確認し、金利上昇が家計に与える影響をシミュレーションすることから始めましょう。金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーへの相談も検討してみてください。

参考資料:

鈴木 麻衣子

企業経営・コーポレートガバナンス

企業経営・コーポレートガバナンスを専門に取材。経営戦略の成功事例から不正会計の構造的問題まで、企業の「あり方」を鋭く問う。

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