日経平均1539円高の大幅反発、中東リスク後退で底入れ期待
日経平均1539円高と中東リスク後退
2026年3月18日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比1539円01銭(2.87%)高の5万5239円40銭と大幅に反発し、この日の高値で取引を終えました。3月に入って中東情勢の悪化を背景に5000円を超える下落を記録していた日経平均ですが、ホルムズ海峡でタンカーの通航が一部再開したとの報道を受け、過度な警戒感が後退したことが買い戻しを促しました。
この記事では、大幅反発の背景にある中東情勢の変化や市場の動向を整理するとともに、今後の焦点となる日米首脳会談やFOMC(米連邦公開市場委員会)の影響について解説します。
中東ショックからの反発:何が変わったのか
ホルムズ海峡の通航再開が転機に
大幅反発の直接的なきっかけとなったのは、ホルムズ海峡をめぐる状況の変化です。2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖し、世界の原油供給に深刻な脅威を与えていました。ホルムズ海峡は世界の石油消費量の約20%、日量約2020万バレルの原油が通過する要衝であり、その封鎖は国際的なエネルギー危機を引き起こしました。
しかし3月15〜16日にかけて、少なくとも5隻の船舶がイラン領海を経由してホルムズ海峡を通過したことが海事情報会社ウィンドワードの分析で確認されました。イランが友好国の船舶を選別して通航を許可する「選択的封鎖」へと方針を転換した形です。さらに、米国のハセットNEC(国家経済会議)委員長も17日にタンカーの通航再開に言及し、市場の安心感につながりました。
WTI原油先物の急落が追い風に
ホルムズ海峡の部分的な通航再開を受け、原油先物価格は下落に転じました。攻撃前には1バレル67ドル程度だったWTI原油先物価格は、封鎖の影響で3月9日に一時120ドル近くまで急騰していました。原油価格の落ち着きは、エネルギーコストの上昇懸念を和らげ、特に日本のように原油輸入への依存度が高い国の株式市場にとって大きな支援材料となりました。
日本は原油の中東依存度が約94%に達しており、ホルムズ海峡経由の輸入が全体の約9割を占めます。封鎖が長期化すれば原油備蓄の取り崩しを迫られる状況でしたが、通航再開の兆しが見えたことで最悪のシナリオが後退しました。
市場の全面高と底入れ期待
全33業種が上昇する全面高
18日の東京市場は幅広い銘柄に買いが入る「全面高」の展開となりました。東証プライム市場では1495銘柄が上昇し、上場銘柄の90%以上が値上がりする一方、下落はわずか75銘柄にとどまりました。全33業種が上昇し、特に海運業が上昇率トップとなったほか、石油・石炭や電気・ガスといったエネルギー関連セクターも堅調でした。
午後に入ると上げ幅は一段と拡大しました。中東情勢のショック状態から脱したとの見方が広がり、空売りポジションの買い戻し(ショートカバー)が加速したためです。高値引けとなったことは、投資家心理の改善を示す強いシグナルといえます。
3月の下落からの回復度合い
3月に入ってからの日経平均の動きを振り返ると、中東ショックの深刻さがわかります。特に3月9日には一時4000円を超える下落を記録し、終値でも前営業日比2892円安の5万2728円と、歴史的な暴落となりました。3月上旬から前日(17日)までに累計で5000円を超える下げ幅を記録していたことを考えると、18日の1539円高は回復の第一歩にすぎません。
ただし、トランプ米大統領がイランへの軍事攻撃を終了し「かなり近い将来に撤退する」と発言したことも市場の安心感を後押ししており、底入れ期待が広がっています。
今後の焦点:日米首脳会談とFOMC
3月19日の日米首脳会談
市場が次に注目するのは、3月19日(米東部時間)にワシントンで予定されている高市早苗首相とトランプ大統領の首脳会談です。高市首相は18日夜に訪米に向けて出発しました。
この会談では、中東情勢への対応が最重要テーマとなる見通しです。高市首相は米国産原油の輸入拡大をトランプ大統領に伝達する方針を固めており、アラスカ州での原油増産への投資協力を通じて中東産原油への依存度を引き下げる構想が報じられています。これは日米関税合意に基づく5500億ドル(約87兆円)規模の対米投融資の一環として位置づけられます。
一方で、ホルムズ海峡の航行安全確保に向けた自衛隊派遣の要請など、トランプ大統領が日本にどのような行動を求めるかも焦点です。会談の結果次第では株式市場に新たな材料を提供する可能性があり、その成否が今後の相場の方向性を左右しかねません。
FOMCの金融政策判断
同じく18日(米国時間)にはFOMCの結果発表が予定されています。市場では政策金利(3.50〜3.75%)の据え置きがほぼ織り込まれていますが、注目はパウエルFRB議長の記者会見と経済見通し(ドットチャート)です。
原油価格の急騰によるインフレ再燃への懸念が強まる中、ドットチャートの中央値が年内利下げなしを示唆する可能性もあり、市場は長期にわたる金利据え置きの示唆に警戒感を持っています。金融政策の方向性が明確になれば、株式市場の次の方向感を決める重要な材料となります。
選択的通航と日米会談・FOMCリスク
今回の大幅反発は底入れのサインとも受け取れますが、楽観は禁物です。ホルムズ海峡の通航はあくまで「選択的」であり、イランの新最高指導者は海峡閉鎖の継続を主張しています。完全な通航再開にはほど遠い状況であり、中東情勢の先行き次第では再び原油価格が急騰するリスクが残ります。
また、最後の中東発原油タンカーが22日に日本に到着する見通しとの報道もあり、それ以降は原油備蓄への依存度が高まる可能性があります。エネルギー供給の安定が確認されるまでは、ボラティリティの高い相場が続くことを想定しておく必要があります。
日米首脳会談の結果やFOMCの声明内容によっては、新たな買い材料にも売り材料にもなり得ます。特に関税問題や自衛隊派遣といったテーマは、市場参加者にとって想定外の展開をもたらす可能性を秘めています。
1539円高後の底入れ期待と3要素注視
3月18日の日経平均1539円高は、ホルムズ海峡の通航一部再開と原油価格の落ち着きを背景に、中東ショックからの底入れ期待を反映した大幅反発でした。全33業種が上昇し、プライム市場の90%以上の銘柄が値上がりする全面高は、投資家心理の大きな転換を示しています。
ただし、中東情勢の完全な安定には至っておらず、19日の日米首脳会談やFOMCの結果が次の相場の方向性を決める重要なイベントとなります。エネルギー供給の安定、外交交渉の進展、金融政策の見通しという3つの要素を注視しながら、引き続き慎重な姿勢で市場に臨むことが求められます。
参考資料:
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