サントリーがブランド・ジャパン2026で初の総合力首位に
5万8000人調査でサントリー初首位
日経BPコンサルティングが毎年実施するブランド価値評価調査「ブランド・ジャパン」の2026年版が公開されました。約5万8000人が回答したこの大規模調査で、サントリーが一般生活者編の「総合力」ランキングで初の首位を獲得しました。前回25位からの24ランクアップという大躍進です。
ブランド・ジャパンは2001年から続く国内最大級のブランド評価調査であり、企業のマーケティング戦略やブランド力の指標として広く活用されています。サントリーの首位獲得の背景には、2025年大阪・関西万博での話題づくりや、的確な商品戦略がありました。本記事では、調査結果の詳細とサントリー躍進の要因を分析します。
一般生活者編の総合力ランキング
サントリーが87.4ptで堂々の首位
ブランド・ジャパン2026の一般生活者編「総合力」ランキングで、サントリーは偏差値87.4ポイントを獲得し、前回の25位から一気に首位へ躍り出ました。ブランド力を構成する複数の評価軸において、サントリーは目覚ましい成績を収めています。
特に注目すべきは、コンビニエント(利便性)ランキングで前回91位から7位へ、イノベーティブ(革新性)ランキングで82位から20位へ、フレンドリー(親和性)ランキングで21位から1位へと、主要指標で軒並み大幅な上昇を記録した点です。単一の要素ではなく、ブランドの総合的な評価が底上げされたことが首位獲得につながりました。
トップ10の顔ぶれ
一般生活者編のトップ10には、2位にYouTube、3位にダイソー、4位にパナソニック、5位に無印良品がランクインしました。業種別に見ると、飲食・食品飲料から2ブランド、流通・小売・アパレルから4ブランド、IT・Webサービスから2ブランド、電機・総合エンターテインメントから2ブランドがトップ10入りしており、消費者に身近な生活密着型ブランドが強さを見せています。
上昇ランキングの上位には、チキンラーメン、パナソニック、ロピアなどが名を連ねました。チキンラーメンは継続的なブランドリニューアルやCM展開が消費者の支持を集め、ロピアは低価格戦略と独自の店舗体験で急速にブランド認知を拡大しています。
サントリー躍進の3つの要因
大阪・関西万博でのブランド体験
サントリーの首位獲得に大きく貢献したのが、2025年大阪・関西万博での活動です。サントリーはダイキン工業と共同で「ウォータープラザ」を出展し、水上のスペクタクルショーなどが大きな話題となりました。
企業メッセージである「水と生きる」を体現したエンターテインメントは、来場者に強いブランド体験を提供しました。万博という国際的な舞台での存在感が、フレンドリー(親和性)やイノベーティブ(革新性)の評価を押し上げた要因と考えられます。ブランドの理念を体験型コンテンツとして発信する手法は、今後の企業ブランディングの模範例となるでしょう。
プレミアム・モルツCMの波及効果
「ザ・プレミアム・モルツ」のCMシリーズが幅広い年齢層から支持を集めたことも、ブランド力向上に寄与しました。CMを通じて「特別なひととき」というブランドイメージが消費者に浸透し、サントリーブランド全体への好感度を引き上げる効果がありました。
テレビCMはブランド認知を拡大する伝統的な手法ですが、デジタルメディアとの連動やSNSでの話題化を組み合わせることで、その効果は一段と増幅されています。サントリーのCM戦略は、統合的なメディア活用の好例です。
家飲み需要への迅速な対応
「サントリー生ビール」の定番商品化や、金麦がビールカテゴリに格上げされるなど、多様化する家飲み需要に迅速に対応した商品戦略も評価されました。これらの施策により、日々の生活における利便性(コンビニエント)の評価が飛躍的に向上しています。
2025年10月の酒税改正でビール系飲料の税率が一本化されたことを受け、サントリーは新ジャンルからビールへの移行をいち早く進めました。消費者のニーズ変化を先読みし、商品ラインナップを柔軟に見直す姿勢が、ブランドへの信頼感を高めています。
ビジネス・パーソン編の結果
トヨタが19度目の首位を堅持
ビジネス・パーソン編の「総合力」ランキングでは、トヨタ自動車が19度目の首位を維持しました。2位にはソニー(前回4位)、3位にはソフトバンク(前回44位)が大幅にランクアップして入りました。4位に任天堂(前回3位)、5位にJR東日本(前回51位)が続いています。
注目すべきは、ソフトバンク、JR東日本、日清食品、パナソニック、日本マクドナルドの5ブランドが新たにトップ10入りを果たしたことです。ビジネス・パーソン編では、デジタル変革やイノベーションへの取り組みが評価される傾向が強く、ソフトバンクのAI関連投資やDX推進への姿勢が大幅な順位上昇につながったと考えられます。
消費者とビジネス層の評価の違い
一般生活者編とビジネス・パーソン編で順位に大きな差があるブランドも少なくありません。例えば、トヨタはビジネス・パーソン編では不動の首位ですが、一般生活者編ではトップ10外です。逆にダイソーやYouTubeは生活者からの支持が厚い一方で、ビジネス評価は異なります。
この差は、ブランド評価の視点が異なることを反映しています。消費者は日常的な接点や親しみやすさを重視し、ビジネス層は経営戦略やイノベーション力に着目します。企業がブランド戦略を立案する際は、どちらのターゲットに対してブランド力を高めたいかを明確にすることが重要です。
「水と生きる」と生活密着ブランド台頭
ブランド力は一朝一夕で築けない
サントリーの躍進は、万博出展やCM展開といった単発の施策だけでなく、「水と生きる」という一貫したブランドメッセージの積み重ねが土台になっています。ブランド・ジャパンの調査結果を短期的なマーケティング指標として捉えるだけでなく、長期的なブランド資産の構築という視点で活用することが重要です。
生活密着型ブランドの台頭
トップ10の構成を見ると、ダイソーやロピアなど日常生活に密着した流通・小売ブランドの存在感が増しています。物価上昇が続く中、消費者にとっての「コストパフォーマンスの良さ」がブランド評価の重要な要素になりつつあります。今後もこの傾向は続く可能性があります。
サントリー初首位とトヨタ19度目首位
ブランド・ジャパン2026では、サントリーが一般生活者編の総合力ランキングで前回25位から初の首位へと大躍進しました。大阪万博でのブランド体験、プレミアム・モルツのCM効果、家飲み需要への迅速な商品対応という3つの要因が重なり、親和性・利便性・革新性のすべてで評価が急上昇しています。
ビジネス・パーソン編ではトヨタが19度目の首位を堅持する一方、ソフトバンクやJR東日本の躍進が目立ちました。消費者とビジネス層で異なるブランド評価の視点を理解し、自社のブランド戦略に活かすことが企業にとっての次のアクションです。
参考資料:
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