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一流リーダーが1人の時間に磨く4つの力とは

by 鈴木 麻衣子
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大野栄一氏が説く1人時間の4つの力

「マネジメントの結果は、部下と接する前に決まっている」。これは「すごい会議」公式コーチとして130社1,400人以上を指導してきた大野栄一氏の言葉です。同氏は2025年3月に刊行した著書『できるリーダーが「1人のとき」にやっていること』の中で、リーダーが1人の時間に磨くべき4つの力を提唱しています。

多忙な業務の中でチームを率いるリーダーにとって、マネジメントの「質」をどう高めるかは永遠の課題です。しかし、その質は職場で部下と向き合う場面だけでなく、1人の時間にどれだけ自分を磨けるかによって大きく左右されます。本記事では、一流のリーダーが実践している4つの力について解説します。

4つの力の全体像

マネジメントの質を決める要素

大野氏が提唱する4つの力とは、「思考の自由度」「問いの力」「喚起力」「構造デザイン力」です。これらはいずれも、リーダーが1人の時間に内省や学びを通じて高めるべき能力とされています。

重要なのは、これらの力は生まれ持った才能ではなく、意識的に磨くことで誰でも高められるという点です。日常業務に追われるだけでは身につかず、意図的に1人の時間を確保して取り組む必要があります。

なぜ「1人の時間」が重要なのか

リーダーの多くは、チームメンバーとの会議や面談、トラブル対応に追われ、自分自身を振り返る時間を十分に確保できていません。しかし、マネジメントの質を高めるためには、現場での実践だけでなく、その土台となる思考力や視座を事前に磨いておくことが不可欠です。

1人の時間は、自分の思い込みに気づき、新たな視点を獲得し、チームに対するアプローチを再設計する貴重な機会となります。

4つの力を深掘りする

第1の力:思考の自由度

思考の自由度とは、既存の枠組みや思い込みにとらわれず、物事を柔軟に見る力のことです。リーダーは経験を積むほど「こうあるべきだ」という固定観念を持ちやすくなります。しかし、その固定観念こそが組織の成長を阻む最大の要因になり得ます。

思考の自由度を高めるためには、自分が「当たり前」と思っていることを意識的に疑う習慣が必要です。例えば、「この業務はこの方法でやるしかない」という前提を一度取り払い、ゼロベースで考え直してみることです。異業種の事例を学んだり、自分とは異なる立場の人の意見に触れたりすることも効果的です。

第2の力:問いの力

問いの力とは、チームメンバーや自分自身に対して、本質的な問いを投げかける能力です。リーダーが発する問いの質は、チームの思考の質を直接的に左右します。

三流のリーダーは「なぜできなかったのか」と問い、部下を萎縮させます。一方、一流のリーダーは「どうすればできるようになるか」「何があればうまくいくか」と問い、部下の思考を前向きな方向に導きます。こうした効果的な問いを生み出すには、日頃から自分自身に対しても質の高い問いを投げかける練習が重要です。

第3の力:喚起力

喚起力とは、部下の中に眠っている能力や自主性を引き出す力です。指示や命令で人を動かすのではなく、相手の内側にある意欲や可能性を呼び覚ますアプローチです。

大野氏は、リーダーに求められているのは「指示を出すこと」や「結果を出すこと」以上に、「祝福的であること」だと述べています。これは、メンバーの成長や成果を心から喜び、認めることで、チーム全体のモチベーションを高める姿勢を指しています。

喚起力を磨くには、日頃からメンバー一人ひとりの強みや成長の兆しに目を向け、言語化する練習が必要です。

第4の力:構造デザイン力

構造デザイン力とは、チームが成果を出すための仕組みや枠組みを設計する能力です。会議の進め方、目標設定の方法、役割分担、コミュニケーションのルールなど、組織が機能するための「構造」を最適にデザインする力といえます。

優れた構造があれば、リーダーが逐一指示を出さなくても、メンバーが自律的に動ける環境が生まれます。逆に、構造が不十分であれば、どれだけリーダーが努力しても組織はうまく回りません。

週30分の内省と2025年リーダーシップ潮流

4つの力を磨く上で注意すべきは、すべてを一度に完璧にしようとしないことです。まずは自分にとって最も弱いと感じる1つの力から取り組み、少しずつ高めていくアプローチが現実的です。

また、1人の時間を確保すること自体がリーダーにとって大きな課題です。日々のスケジュールに意図的に「内省の時間」を組み込む工夫が求められます。たとえ週に30分でも、定期的に自分のマネジメントを振り返る時間を設けることが、長期的には大きな差を生みます。

2025年のリーダーシップ・トレンドでは、「人とのつながりを築く能力」や「弱さを認める姿勢(バルネラビリティ)」の重要性が指摘されています。これらは、大野氏が提唱する喚起力や思考の自由度とも通じるものです。リーダーが自分自身と向き合い、内面を磨く重要性は、今後ますます高まるでしょう。

4つの力を磨く週30分の実践効果

一流のリーダーとそうでないリーダーの差は、職場での努力量ではなく、1人の時間をどう使うかにあります。思考の自由度、問いの力、喚起力、構造デザイン力という4つの力を意識的に磨くことで、マネジメントの質は着実に向上します。

まずは週に一度、30分でも良いので「1人で考える時間」をスケジュールに入れてみてください。自分のマネジメントを振り返り、4つの力のうちどれを伸ばすべきかを考えることが、チーム全体のパフォーマンス向上への第一歩となります。

参考資料:

鈴木 麻衣子

企業経営・コーポレートガバナンス

企業経営・コーポレートガバナンスを専門に取材。経営戦略の成功事例から不正会計の構造的問題まで、企業の「あり方」を鋭く問う。

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