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一生に一度は乗りたい世界の豪華列車の魅力

by 藤田 七海
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走るホテルとしての豪華列車人気

豪華列車を楽しむ旅の人気が世界的に高まっています。飛行機では味わえない「移動そのものを楽しむ」旅のスタイルが、旅慣れた人々の間で再評価されているのです。

昔ながらの優雅さと現代的な快適さを併せ持つ豪華列車は、車窓から流れる風景を堪能しながら、最高級のサービスと食事を楽しめる唯一無二の体験を提供してくれます。寝台個室、専属バトラー、コース料理、展望ラウンジなど、まさに「走るホテル」と呼ぶにふさわしい設備が揃っています。

本記事では、世界各地の代表的な豪華列車を地域別に紹介し、それぞれの特徴や魅力、おおよその費用感をお伝えします。

ヨーロッパ——伝統と格式の豪華列車

ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス

豪華列車の代名詞ともいえるのが、ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス(VSOE)です。1883年にパリとイスタンブールを結ぶ路線として誕生した歴史を受け継ぎ、現在はベルモンド社が運行しています。

17両の車両はすべて1920年代のオリジナル車両を忠実に修復したもので、アールデコ調の内装が黄金時代の旅を現代に蘇らせています。ロンドン〜ベニス間をはじめ、パリ〜イスタンブール間など複数のルートが運行されています。

料金はツインキャビンで1人あたり約3,800ポンド(約76万円)から、グランドスイートで約8,400ポンド(約168万円)からです。全食事、シャンパンレセプション、スチュワードサービスが含まれています。アガサ・クリスティの小説の舞台としても知られ、文学ファンにとっても特別な体験です。

その他のヨーロッパ豪華列車

スコットランドを走る「ロイヤル・スコッツマン」も注目に値します。ハイランド地方の雄大な自然を車窓に眺めながら、スコッチウイスキーのテイスティングやゴルフなどのアクティビティを楽しめます。少人数制のため、より親密でプライベートな雰囲気が特徴です。

また、スペインの「アル・アンダルス」はアンダルシア地方を巡る豪華列車で、イスラム文化とキリスト文化が交差する歴史的な街々を訪れます。1920年代に製造された車両をベースに、スペインらしい華やかな内装が施されています。

アジア——多彩な文化を車窓に楽しむ

マハラジャズ・エクスプレス(インド)

インドの豪華列車「マハラジャズ・エクスプレス」は、かつてのマハラジャ(藩王)の旅を現代に再現した列車です。精緻にデザインされた車両と完璧なサービスが、インドの王族気分を味わわせてくれます。

ラジャスタン州の壮麗な宮殿からケララ州の静寂なバックウォーターまで、インドの多様な風景を巡る複数のルートが用意されています。マリーゴールドとバラの花びらによる歓迎から専属バトラーの配置まで、すべてにおいて格式の高いホスピタリティが提供されます。スイートルームには専用バスルーム、クローゼット、上質なベッドが備わり、ラウンジやバーではくつろぎのひとときを過ごせます。

デカン・オデッセイ(インド)

同じくインドの「デカン・オデッセイ」は、グジャラート州やマハラシュトラ州など、6つの異なるルートを提供しています。インドの隠れた名所や自然の神秘に出会える旅として人気があり、マハラジャズ・エクスプレスとは異なるインドの魅力を発見できます。

日本のクルーズトレイン

日本にも世界に誇る豪華列車があります。JR九州の「ななつ星 in 九州」は、コンデナスト・トラベラー誌のリーダーズ・チョイス・アワードでトレイン部門3年連続世界一を受賞した実力派です。九州各地の絶景と地元の食材を活かした美食を楽しめます。

JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」は東日本の四季折々の風景を、JR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は山陰・山陽地方の美しい風景を満喫できます。いずれもヒノキ風呂やピアノの生演奏など、日本ならではのおもてなしが詰まっています。

アフリカ・オセアニア——大自然を駆け抜ける

ロヴォスレイル(南アフリカ)

「世界で最も豪華な列車」と称されるロヴォスレイルは、南アフリカを拠点に30年以上の歴史を持つ鉄道旅行会社です。ヴィンテージな車両に現代の快適さを融合させた空間が特徴で、列車最後尾のオープンデッキ展望車からはアフリカの大地を一望できます。

ゴルフサファリや歴史探訪などのテーマ別ツアーも用意されており、単なる移動ではなく、アフリカの文化と自然を深く体験する旅が楽しめます。きめ細やかなパーソナルサービスと限定エクスカーションが、他の豪華列車とは一線を画す魅力です。

ザ・ガン(オーストラリア)

オーストラリア大陸を南北に縦断する「ザ・ガン」は、アデレードからアリススプリングスを経由してダーウィンまでの約2,979キロメートルを54時間かけて走破する壮大な旅です。

赤い大地が広がるオーストラリアのアウトバックを車窓に眺めながら、途中のアリススプリングスやキャサリン渓谷では下車観光も楽しめます。プラチナとゴールドの2クラスが用意されており、いずれも全食事付きのオールインクルーシブ方式です。

インディアン・パシフィック(オーストラリア)

同じくオーストラリアの「インディアン・パシフィック」は、シドニーからパースまでの約4,352キロメートルを東西に横断する列車です。世界最長の直線鉄道区間であるナラボー平原を走り抜ける体験は、他では味わえません。

豪華列車の半年以上前予約とCO2需要

豪華列車の旅を計画する際に気をつけたいポイントがあります。まず、人気路線は数カ月前から予約が埋まるため、早めの手配が必須です。特にベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレスやななつ星 in 九州は、シーズンによっては半年以上前の予約が必要になることもあります。

また、料金には食事やエクスカーションが含まれているケースが多いものの、アルコール類や特別なアクティビティは別料金の場合があります。予約前に何が含まれているかを確認することが大切です。

豪華列車の旅は今後もさらに多様化すると見られています。環境意識の高まりから、飛行機よりもCO2排出量の少ない鉄道旅行が注目を集めており、サステナブルな旅の選択肢としても豪華列車の需要は伸びていく見通しです。新路線の開設や既存列車のリニューアルも相次いでおり、選択肢はますます広がっています。

オリエント急行からななつ星までの旅価値

世界の豪華列車は、ヨーロッパの伝統あるオリエント急行から、インドのマハラジャズ・エクスプレス、オーストラリアのザ・ガン、そして日本のななつ星まで、地域ごとに個性豊かな旅を提供しています。いずれも共通しているのは、「移動そのものが目的になる」という贅沢な旅の形です。

料金は決して安くはありませんが、一生に一度の特別な体験としての価値は十分にあります。まずは気になる路線の公式サイトで空き状況を確認し、早めに計画を立てることをおすすめします。車窓から流れる景色とともに過ごす時間は、きっと忘れられない思い出になるでしょう。

参考資料:

藤田 七海

ブランド・消費文化・ライフスタイル

ブランド戦略・消費文化・ライフスタイルを幅広く取材。歴史や科学にも造詣が深く、多角的な視点で社会の「今」を切り取る。

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