ドーハ空港が1週間ぶりに復活 中東の空路再開の現在地
イラン攻撃で麻痺した中東航空網の再始動
2026年2月28日に始まった米国・イスラエルによるイラン攻撃は、中東全域の航空網を麻痺させました。カタールのドーハ・ハマド国際空港をはじめ、ドバイ国際空港など湾岸諸国の主要空港が相次いで閉鎖され、数千便が欠航する異常事態となりました。
それから約1週間。3月7日にカタール航空が救援便を再開し、エミレーツ航空は日本路線を含む運航の段階的復旧を進めています。日本政府のチャーター機による邦人退避も完了しました。中東の空の復活に向けた動きを追います。
ハマド国際空港の閉鎖から再開へ
7日間の全便停止
ドーハ・ハマド国際空港は、イラン攻撃開始直後からカタール空域の全面閉鎖に伴い、すべてのフライトが停止しました。JALも乗り入れる同空港は、カタール航空のハブ空港として世界中の旅客を中継する重要な拠点です。年間旅客数4,000万人超を誇る巨大ハブの機能停止は、グローバルな航空ネットワークに大きな混乱をもたらしました。
JALは2月28日、羽田発ドーハ行きのJL59便およびドーハ発羽田行きのJL50便の運航を停止しました。中東空域の安全が確認できるまで欠航を継続する方針を示しています。
3月7日に救援便が復活
カタール民間航空局が領空の部分的開放を発表したことを受け、カタール航空は3月7日、ハマド国際空港から救援便の運航を再開しました。7日間の沈黙に終止符が打たれた瞬間です。
初日の救援便はロンドン・ヒースロー、パリ・シャルルドゴール、マドリード、ローマ・フィウミチーノ、フランクフルトの欧州5都市が行き先でした。その後、カイロ、ダラス、デリー、香港、ソウル、バンコクなどにも救援便の範囲を拡大し、3月13日まで運航を継続しています。
ただし、これらはあくまで救援便であり、通常の定期便運航が再開されたわけではありません。カタール領空の全面再開を待って、段階的に定期便を復活させる見通しです。
エミレーツ航空は「完全復活」へ前進
ドバイからの運航を段階的に再開
一方、エミレーツ航空はカタール航空に先立ち、3月5日からドバイ発のフライトを段階的に再開しました。地域空域の一部が再開されたことを受けた措置で、再開初日には約3万人の旅客を輸送しています。
エミレーツ航空は3月6日時点で、ネットワーク全体での運航を段階的に再開しており、数日以内に通常の運航レベルに回復する見通しを示しました。航空ネットワークは6割まで回復し、完全復活に向けて着実に歩みを進めています。
日本路線も再開
注目すべきは、エミレーツ航空がドバイ発羽田行きの日本路線を再開した点です。新規予約の受付も開始しており、日本と中東を結ぶ航空路の復旧が進んでいます。
ただし、運航ルートには変更が生じています。ホルムズ海峡周辺の空域を避けるため、オマーン上空を経由する「オマーンルート」が注目を集めています。通常より飛行時間が長くなる可能性がありますが、安全確保を最優先とした対応です。
日本政府チャーター機で邦人退避が完了
4カ国から281人が帰国
中東情勢の悪化を受け、外務省は中東6カ国・地域の危険レベルを「渡航中止勧告」に引き上げました。クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)では国際空港の閉鎖により出国が困難な状況が続きました。
日本政府は邦人退避のためチャーター機を手配し、陸路でサウジアラビアの首都リヤドとオマーンの首都マスカットへ輸送した上で、そこからチャーター機で帰国させる計画を実行しました。3月10日には4カ国から281人がリヤド経由のチャーター機で成田空港に到着しています。
第6便で全員帰国完了
その後も退避フライトは継続され、3月14日にチャーター機第6便が成田空港に到着しました。この便をもって、日本政府に退避を希望していた日本人全員の帰国が完了しました。
国際空港が閉鎖された状況下で、陸路と空路を組み合わせた退避オペレーションは、在外邦人保護の新たなモデルケースとなりました。今回の経験は、今後の危機対応に生かされることが期待されます。
ホルムズ緊張下の中東経由ルート正常化リスク
完全復旧までの道のり
中東の航空網は復旧に向かっていますが、完全な正常化にはまだ時間がかかります。カタール航空は依然として救援便ベースの運航にとどまっており、通常の定期便再開の時期は明確になっていません。
ホルムズ海峡周辺の軍事的緊張が続く限り、空域制限が完全に解除される見通しは立ちにくい状況です。航空各社は安全確保を最優先としながら、段階的な復旧を進めていくことになります。
中東経由ルートへの影響
ドーハやドバイは、アジアと欧州を結ぶ乗り継ぎハブとして多くの旅客に利用されてきました。今回の混乱により、中東経由ルートの信頼性に対する懸念が広がっています。航空会社や旅行者の間で、代替ルートの検討が進む可能性があります。
一方で、エミレーツ航空やカタール航空の迅速な復旧対応は、中東ハブ空港の回復力を示すものでもあります。長期的な航空ネットワークへの影響は、今後の中東情勢の推移次第です。
ドーハ救援便再開と邦人退避完了後の課題
イラン軍事衝突で麻痺した中東の航空網は、少しずつ復活への歩みを進めています。ドーハ・ハマド国際空港は3月7日に1週間ぶりの救援便を再開し、エミレーツ航空は日本路線を含む運航を段階的に回復させています。
日本政府チャーター機による邦人退避も第6便で完了し、危機対応としては一定の成果を上げました。しかし中東情勢の先行きは依然不透明であり、航空網の完全正常化には時間を要する見通しです。旅行や出張で中東を経由する方は、最新の運航情報を随時確認することをお勧めします。
参考資料:
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