電気保守点検で年商2000万円も可能な背景とは
年商2000万円台を生む電気保守点検需要
電気設備の保守点検という仕事が、いま大きな注目を集めています。個人事業主として独立し、年商2,000万円台を実現するケースも出てきました。背景にあるのは、電気主任技術者の深刻な人手不足です。経済産業省の試算によれば、2030年度には第3種電気主任技術者が約2,000人不足するとされています。
異業種から40代で転身し、成功を収めた事例も珍しくありません。飲食業の倒産という逆境から再起を果たしたケースもあります。この記事では、電気保守点検ビジネスの現状と将来性、そして参入のポイントについて解説します。
電気保守点検市場が拡大する構造的要因
有資格者の高齢化と需要の増加
電気保守点検市場が拡大している最大の要因は、需要と供給のギャップです。第3種電気主任技術者の外部委託従事者を年齢別に見ると、60代以上が半数以上を占めています。毎年約4,000人が新規に免状を取得していますが、退職者数とほぼ均衡しており、実質的な純増はわずかです。
一方、有資格者が必要な電気設備は毎年0.6%ずつ増加しています。自家用電気工作物の数は増え続けており、経済産業大臣による外部委託承認件数も毎年約1万件ずつ増加している状況です。需要が伸びる一方で供給が追いつかないため、単価の上昇圧力が強まっています。
太陽光発電の普及が追い風に
需要拡大のもうひとつの大きな要因が、太陽光発電設備の増加です。2023年度の非住宅オンサイトPPA(電力購入契約)導入容量は870MWに達し、市場全体の17.3%まで拡大しました。オフサイトPPAも445MWと全体の8.8%を占めています。
太陽光発電設備も自家用電気工作物に該当するため、法令に基づく保安管理が必要です。FIT制度に依存しない事業形態での導入が増えており、2030年度にかけてさらに拡大する見通しです。これに伴い、保守点検の外部委託需要も着実に増えています。
外部委託が主流の業界構造
電気設備の保安管理において、自家用電気工作物の約9割が外部委託承認制度を利用しています。その内訳は、約5割が電気保安協会、約1割が保安法人、約4割が個人の管理技術者です。つまり、個人事業主が活躍できる市場が制度的に確保されているのです。
企業が自社で電気主任技術者を雇用するよりも、外部の専門家に委託するほうがコスト効率が良いケースが多いため、この構造は今後も維持される可能性が高いです。
個人事業主として成功するためのポイント
独立に必要な条件と収入の目安
電気管理技術者として独立するには、いくつかの条件を満たす必要があります。電験(電気主任技術者試験)に合格して免状の交付を受けていること、所定の年数以上の実務経験があること、そして業務に必要な測定器具を所有していることが求められます。
独立した電気管理技術者の年収は、一般的に600万円から1,300万円程度とされています。平均すると約800万円で、働き盛りの40代から60代では1,000万円前後に達するケースも多いです。ただし、独立直後の2〜3年は顧客開拓の時期であり、物件数が十分に確保できるまでは収入が安定しないことも事実です。
キュービクルの定期点検が収入の柱
個人事業主の主な収入源となるのが、キュービクル(高圧受電設備)の保守点検です。自家用電気工作物を設置する事業所は、毎月または隔月での月次点検と、年1回の年次点検が法令で義務付けられています。絶縁監視装置を設置している場合は隔月点検が認められますが、いずれにしても定期的な点検が必要です。
この「定期的に発生する法定義務」という性質が、ビジネスとしての安定性を支えています。一度契約を獲得すれば、継続的な収入が見込めるストック型のビジネスモデルです。物件を着実に増やしていくことで、年商を積み上げることができます。
異業種からの転身事例
電気保守点検の世界では、異業種から転身して成功を収めた事例が数多くあります。40代で電験の資格を取得し、実務経験を積んだ後に独立するというキャリアパスは、決して珍しいものではありません。
注目すべきは、この業界が年齢を問わず参入できる点です。むしろ40代以降の社会経験や対人スキルが、顧客との信頼関係構築に活かされるケースが多いとされています。電気は生活やビジネスに不可欠なインフラであり、AIに代替されにくい現場作業を伴うため、長期的な需要が見込めます。
電験3種10%の壁とメガソーラー拡大
参入にあたってのハードル
魅力的な市場である一方、参入にはいくつかのハードルがあります。まず、電験3種の合格率は例年10%前後と決して容易ではありません。さらに、免状取得後に所定の実務経験が必要です。近年は保安管理業務講習の受講により実務経験年数が緩和される制度改正も進んでいますが、それでも一定の準備期間は必要です。
また、測定器具の購入費用として初期投資が必要になります。独立直後は物件が少なく、収入が不安定になりやすい点も認識しておくべきです。
制度改正と市場の今後
経済産業省は人材不足に対応するため、外部委託要件の緩和や講習制度の拡充を進めています。2,000kW以上のメガソーラーについても外部委託の対象に加える動きがあり、個人事業主にとっての市場はさらに広がる可能性があります。
スマート保安やIoT技術の活用による遠隔監視の導入も進んでおり、業務の効率化が期待されています。一方で、現場での点検作業は引き続き人の手が必要とされるため、有資格者の価値は今後も高まり続けるでしょう。
40代独立を支える資格取得と実務経験
電気設備の保守点検は、深刻な人手不足と需要増加を背景に、個人事業主にとって大きなチャンスがある分野です。年商2,000万円台も決して夢物語ではなく、着実に物件を積み上げることで実現可能な水準です。
異業種からの転身であっても、資格取得と実務経験の蓄積を経て独立することは十分に可能です。特に40代以降のキャリアチェンジを考えている方にとって、検討に値する選択肢といえるでしょう。ただし、資格取得の難易度や独立初期の収入不安定さを考慮し、計画的な準備を進めることが成功の鍵となります。
参考資料:
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